その他
Asset Allocation (あせっとあろけーしょん) 投資資金を株式、債券、外国証券、不動産、現金等の投資対象に振り分ける資産配分のこと。 属性の異なる投資対象にバランスよく資産配分を行い、投資家の特性に適した組み合わせやその構成(ポートフォリオ) を構築することをいう。 そのプロセス全体をさす場合や不動産ファンドにおいて投資対象を不動産に限定して用いられる場合もある。 不動産を対象とした場合は、投資対象となる不動産を用途、所在地、規模、築年数等の属性によりカテゴライズ し、各カテゴリーに投資資金をバランスよく配分することによって分散効果によるリスクの軽減を図る方法とな る。
Asset Management (あせっとまねーじめんと) 投資家や資産所有者等から委託を受けて行う複数の不動産や金融資産の総合的な運用・運営・管理業務のこと。 運用・運営・管理業務には、対象資産のマネジメント計画の策定、資産の購入、売却の実施や管理方針の策定等 がある。 対象となる資産が賃貸不動産のような場合は、テナントや建物等の運営・管理業務を行うプロパティマネジメント会社の選別や管理も行う。運用・運営・管理の実行者をアセットマネジャーという。
IPO (あいぴーおー) InitialPublicOfferingの略で、株式の新規公開のこと。 一般的には「アイ・ピー・オー」という。発起人、設立企画人等少数の株主(投資主)により所有され、自由な株式(投資口)譲渡が制限されている状態(未公開会社)から、不特定多数の株主(投資主)により所有され、株式市場において自由に売買が可能となる状態(公開会社) となる。
ISO (あいえすおー) International OrganizationForStandardizationの略で、国際標準化機構のこと。 さまざまな分野での国際規格の制定と普及を目的として、民間自身が民間のために民間規格を作る機関として、1947年(昭和22年)にスイスのジュネーブを本部として設立された非政府組織の国際機関で、国際連合の諮問機関となっている。 ISOの定めた国際規格の中での代表的なものとしては、製品提供の過程に関する「品質マネジメントシステム」 を規定した規格のISO9001や、「環境マネジメントシステム」を規定した規格のISO14001などがある。ISOの認 証は、ISOの審査登録機関に申請し、規格に適合している旨の審査結果を得て取得することができる。
SPC (えすぴーしー) SpecialPurposeCompanyの略。一般的には「エス・ピー・シー」と読む。特定目的会社のこと。 資産を取得・保有し、その資産を裏付けにした証券を発行して資金を集めることを目的として設立された法人の こと(資産流動化法2条)。不動産の流動化・証券化の核となる組織で、一定の税制上の優遇措置が与えられてい る。 実体の無い器(ビークル)であるため、特定資産の管理・処分の業務は信託会社等に信託しなければならない。 ただし、特定資産が不動産である場合は、財産的基礎等を有する者(不動産業者等)に委託することができる(同法144条)。事業終了後には解散する。特定目的会社の業務は、資産流動化計画に基づいた特定資産の流動化に制限され、原則として他業務を行うことは禁止されている(同法142条)。なお、特定資産は不動産、指名金銭信託、これらの信託受益権に制限されていたが、平成12年の法改正で広く財産権一般に拡大された。 また、特定目的会社のことを一般的にSPC(SpecialPurposeCompany)ということが多いが、資産流動化法に基づかないで株式会社や有限会社形態による特別目的会社を設立して流動化する方法もあり、これらについてもSPC(特別目的会社) と表記することもある。 ただし、特定目的会社については、資産流動化法上の特定目的会社以外に、商号中に特定目的会社の文字 を用いてはならないとしている(同法16条)。なお、特定目的会社と特別目的会社を区別するために特定目的会社をTMK(TOKUTEI MOKUTEKIKAISHA)と表記することもある。
アレンジャー (あれんじゃー) 証券化において、資金調達者と投資家との間でさまざまな調整や取り決めなどの業務を行う者をいう。 商業用不動産からの収益を裏付けとした資産担保証券(CMBS)の発行においては、対象不動産の保有者(オリジネーター)がどのような資金調達を望んでいるかを把握し、それに対応した構造の組成、証券化を行う発行主体 (ビークル)の選定を行い、適合する投資家を確保する業務等を行う。一般的には、格付け取得をともなうため格付け機関との交渉も行う。
インテリアコーディネーター (いんてりあこーでぃねーたー) 住まいを調和のとれた快適な住空間にするためのインテリア計画の作成、家具や住宅設備などの商品選択の助 言、提案を行うアドバイザー。インテリアコーディネーターの活動領域は、住宅建設会社、リフォーム業者、住宅設備・インテリアメーカー等多方面にわたる。 そのための必要な知識、技能を認定するために㈹インテリア産業協会で「インテリアコーディネーター資格試験」を毎年実施しており、その試験に合格し、その登録を受けた者は、インテリアコーディネーターの資格を与えられる。
インテリアプランナー (いんてりあぷらんなー) オフィス、商業施設、住宅等、幅広い建築物を対象にインテリアの企画・設計から工事監理までを行う専門技術 者。 財建築技術教育普及センターが実施する「インテリアプランナー試験」に合格し、その登録を受けた者は、インテリアプランナーの称号を与えられる。なお、「インテリアコーディネーター」の有資格者は試験科目が一部免除される。
オリジネーター (おりじねーたー) 不動産証券化において、保有する不動産、不動産の信託受益権、不動産収益を裏付けとした貸出債権等を、SPC 等の証券化を行う発行主体(ビークル)に譲渡する者のこと。 原資産保有者、資産譲渡人ともいう。不動産以外の資産(金銭の貸出債権等) を原資産とするケースもある。 オリジネーターは自らが保有している不動産・債権を譲渡して資金調達を行う資金調達者でもある。
キャップレード (きゃっぷれーと) CapitalizationRateのことを略して「キャップレート」といい、収益還元率、還元利回り、期待利回り等のこと。 一定期間の純収益(NOI :NetOperatinglncome)を対象不動産の市場価格で割って算出する。一般的には、対象不動産のキャップレート、NOIを所与として当該不動産の収益価格を算出することから、キャップレートをいくらに設定するかにより評価額が大きく変わることとなる。 キャップレートは不動産の地方別、用途的地域別、品等別等によって異なる傾向を持つため、これらの要因分析を踏まえつつ適切に設定する必要がある。
コーポラティブ方式 (こーぽらてぃぶほうしき) 組合方式ともいわれる。2人以上の特定の者が協同して敷地の取得、建物の企画設計、建築工事の発注等を自力 で行い、住宅(主に集合住宅)を取得する方式。最近では、建築士又は不動産業者等が住宅建設組合の設立を企画し、不特定多数の需要者の中から参加者を募り、企画者が敷地の購入の斡旋、建物の企画・設計に対する助言、または設計等の請負等を行うものが多くなってきている。米国のコーポラティブ・アパートメントと異なり、各需要者が個々の住戸を区分所有する。
サービサー (さーびさー) 第三者から債権を譲り受け、又は委託を受けて、債権の管理・回収を専門に行う業者。米国では貯蓄貸付組合 (S&L)の破綻処理の際、SPC等に譲渡された債権の管理・回収を行い、実績を上げた。我が国では、こうした業 務は弁護士法に抵触するため、認められていなかったが、「債権管理回収業に関する特別措置法(サーピサー法)」(平成11年7月11日施行)により、許可を受けた債権回収業者が、委託を受けて金融機関等の保有する特定金銭債権の管理及び回収を行うことが可能となった。
ビークル (びーくる) 英語では「乗り物」や「媒体」といった意味で、不動産等の資産の証券化に関して使われる場合は、証券発行主体となる器のことを指す。 SPV(SpecialPurposeVehicle)と表記されることもある。 SPC等の会社形態や商法上の匿名組合、民法上の任意組合などの組合形態、あるいは特定目的信託等がある。 ピークルを介して証券化対象資産と投資家が結び付けられ、投資家は証券化対象資産から得られるキャッシュフロー等を得ることができる。オリジネーター(原資産保有者)が倒産した場合でも、その影響を受けない倒産隔離の仕組みを組成するためにビークルは利用される。
ビル経営管理士 (びるけいえいかんりし) ビルの所有と経営の分離の進展やビルの高度化、大型化を背景として、ピルの経営、管理を担う人材に対するニーズが高まってきている。 このようなニーズに対応するため、経営、設備管理、賃貸借等の契約などに関する知識を総合的に有し、賃貸ピルの経営を管 理するビル経営管理士資格制度が、平成3年4月に設けられた。この資格試験は、財日本ビルヂング経営センターによって毎年実施されている。
ブローカー (ぶろーかー) 物品や権利の売買の仲介人をいうが、米国の不動産業界では不動産取引仲介業者をいう。 米国では一定年齢以上の不動産取引実務経験者に対し各州が独自に筆記・面接等の資格試験を実施して合格者にブローカー免許を与える。 免許を受けると他業者の下でパートナー・ブローカーとして従事し、あるいは独立業者となってセールスマンを雇用し開業することもできる。詳細は各州ごとに不動産仲介業法(brokeragelaw)や免許規則(licensingstatute)が定められている。
プロパティマネジメント (ぷろぱてぃまねじめんと) 不動産所有者・アセットマネジャー等から業務委託を受けて行う投資対象不動産の収益向上等を目的とした不動産の運営・管理業務のこと。 運営・管理業務には、テナント管理業務として新規テナント募集及び契約条件の交渉や日常的な窓口業務、物件管理業務として建物・設備の保守管理業務の実行や不動産の管理に関する予算計画の策定等がある。運営・管理業務の実行者をプロパティマネジャーという。
マンションの建替えの円滑化等に関する法律 (まんしょんのたてかえのえんかつかとうにかんするほうりつ) 区分所有者による良好な居住環境を備えたマンションへの建替えが円滑に実施できるよう、平成14年12月18日に施行された法律。略してマンション建替え円滑化法ということも多い。マンション建替事業の主体としての法人格を持ったマンション建替組合の設立、権利変換手続による区分所有権、抵当権等の関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別な措置等について定めている。
マンション管理士 (まんしょんかんりし) 管理組合の運営その他マンションの管理に関し、マンション管理士の名称を用いて、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者で、マンション管理適正化法30条1項の国土交通大臣の登録を受けた者のこと。 マンション管理士の試験は国土交通大臣が指定する者に試験事務を行わせることができることとされており、当該試験機関として卿マンション管理センターが指定されている。マンション管理士試験に合格し、その登録をしたときは、マンション管理士登録証が交付される。
不動産コンサルティング (ふどうさんこんさるてぃんぐ) 不動産の取引や土地活用について、不動産に関する専門家としての知識や経験を生かし、公平かつ客観的な立場から、依頼者が最善の意思決定を行えるように助言し、報酬を受ける業務をいう。 不動産コンサルティングに関する業務は、従前から信託銀行等により行われていたが、オイルショックによる地価の下落以後、その業務量が増加した。 等価交換によるマンションの建築、相続に関する節税対策のアドバイス、所有土地の有効利用計画作成のアドバイスなどがその例である。 不動産コンサルティングに関する業務の増大に対応し、更には不動産コンサルティングに従事する者の知識及び技術の向上を目的として、平成4年7月、建設大臣(現・国土交通大臣)告示により、不動産コンサルティング技能の審査・証明事業認定制度が創設された。この告示に基づき、側不動産流通近代化センターが、不動産コンサルティング技能試験を実施し、合格者で実務経験が5年以上ある者を登録するとともに、登録者に対して不動産コンサルティング技能登録証等を交付している。試験の受験資格は、①宅地建物取引主任者資格登録者で、現に宅地建物取引業に従事している者又は今後従事しようとする者、②不動産鑑定士登録者で、現に不動産鑑定業に従事している者又は今後従事しようとする者である(平成15年4月改正)。なお、登録者は、不動産特定共同事業法17条の規定に基づく業務管理者の資格要件を満たす者として認められている。
不動産投資顧問業 (ふどうさんとうしこもんぎょう) 不動産投資を考える投資家からの依頼に基づき、不動産投資に関する助言業務や投資判断・取引代理を伴う一任業務を業として行うこと。 不動産に関する投資顧問業には「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」の適用はなく、宅地建物取引業法の規制を受けるが、平成12年9月に建設省告示(不動産投資顧問業登録規程・平成12年9月1日・建設省告示第1828号)により任意の登録制度が創設された。 不動産投資顧問業は、不動産に対する投資判断に関し、口頭、文書その他の方法により助言を行う一般不動産投資顧問業と、不動産に対する投資判断の全部又は一部を委任されるとともに、投資を行うのに必要な権限を委任され、不動産取引を行う総合不動産投資顧問業とがある。
不動産業界団体 (ふどうさんぎょうかいだんたい) 宅建業者が加盟する業者団体のこと。 不動産の表示に関する公正競争規約では、広告主の所属する業界団体を広告等に表示することが必要とされて いる。不動産業界において、ビル業、鑑定業などを除く一般的な業者の全国組織としては、不動産協会、不動産流通経営協会、日本住宅建設産業協会、全国住宅宅地協会連合会、全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会等がある。なお、平成14年には、不動産業界に共通する重要課題を解決するために、上記の各団体を含む関係13団体により「不動産団体連合会(不動産団体連絡会を改組)」が発足した。
不動産鑑定評価 (ふどうさんかんていひょうか) 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が不動産鑑定評価基準の定めるところに従い、不動産の経済価値を判定し、価額で表示することをいう。 不動産は、不動性、不増性等自然的にも人文的にも固有の特性を有し、一般財のような自由な市場を持つことがない。そこで鑑 定主体(不動産鑑定士等)が、「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価格を表示する適正な価格」を的確に把握し、貨幣額で表示する作業が必要となる。 不動産の鑑定評価は、不動産の価格に関する専門家の判断であり、単なる算定と区別する意図から、鑑定と評価とを結合し、判断要素の重要性を明確にした。
不当利益 (ふとうりえき) 法律上の原因なくして、他人の財産又は労務により財産的利益を受け、これがために他人に損失を及ぼした者に、その利益の返還を命ずる制度をいう(民法703条以下)。 土地の売買契約が詐欺を理由に取り消されたとき売主が受領済みの代金を、また買主が土地の占有や登記をそれぞれ相手方に返還するようなことがその例。返還の範囲は、善意の受益者にあってはその利益の存する限度であり(同法703条)、悪意の受益者にあってはその受けた利益に利息をつけ、もし損害があればその賠償もしなければならない(同法704条)。ただし、民法121条(取消しの効果)、民法196条(費用償還請求権)等の特則があるときはそれに従う。
不法行為 (ふほうこうい) 権利ないし法律上保護される利益が違法に侵害され、損害を被った者が、その侵害者に対し損害賠償を請求する制度をいう(民法709条以下)。 原則として故意過失を要件とするが、危険責任(危険物を支配・管理する者に絶対的責任を負わせる)ないしは報償責任(大規模な事業活動を営む者はその事業活動に起因する損害につき責任を負う)の思想のもとに、立法上も解釈上も、無過失責任主義が台頭している。損害賠償は債務不履行にもあるが、この場合には被害者と加害者との間に契約関係があるのに対し、不法行為は両者にそのような関係のない場合である。公務員の不法行為については、国又は公共団体が損害賠償責任を負う(国家賠償法1条)。
主物・従物 (しゅぶつ・じゅうぶつ) 建物と畳建具とか、本屋(母屋)と離座敷などのように、それぞれ独立した物(権利の客体)でありながら、同一の 所有者に属し、かつ、一方が継続して他方の効用を助けている場合(常用に供するため付属させた場合)の助けられている物を主物、助けている物を従物という(民法87条1項)。動産同士のこともある(鞄と鍵、羽織とひも等)が、不動産と動産、不動産同士の場合もある。 従物は主物の処分に従う(同法87条2項)から、主物である建物を売却し又はこれに抵当権を設定すれば、従 物である建具類については、これを除外するという約束がなければ、その所有権も移転し、又はこれに抵当権の効力が及ぶ(建物と一緒に競売される)。
事業受託方式 (じぎょうじゅたくほうしき) 土地の有効利用方法の一つで、土地所有者からの依頼を受け、不動産会社(ディベロッパー)が、事業計画の策 定、資金の調達、工事の発注、テナントの斡旋、完成建物の管理等の土地利用事業に係わるすべての業務を引き受ける方式をいう。 この方式では、不動産会社が完成建物を一括借上げする等の方法により、土地所有者の収入を保証する事例が多い。本方式は、信託銀行の土地信託に対抗するために不動産業界が開発したもので、昭和56年頃から急速に普及してきた。
代位弁済 (だいいべんさい) 第三者又は共同債務者(保証人、連帯債務者等)が債務を弁済することをいう。 弁済者は弁済した全額について債務者に対して求償権を取得し、その範囲で債権者が債務者に対して持っていた担保権などを債権者に代位して行使することができることになる。上記共同債務者のように弁済をするについ て正当の利益を有する者が弁済したときは、法律上当然に債権者に代位(法定代位)する(民法500条)が、その他の第三者が弁済したときには債権者の承諾を得て代位(任意代位)する(同法499条1項)。任意代位の場合には、弁済者は債権讓渡の場合(同法467条)と同様の対抗要件(債務者への通知又はその承諾)を具備しなければならないものとされている(同法499条2項)。
代物弁済予約 (だいぶつべんさいよやく) 債務者が履行期に弁済しないとき、債務の弁済に代えてその所有する土地建物等の所有権を債権者に移転する旨 の予約をいう。履行期を徒過し債権者が予約を完結すると所有権は移転するが、土地の高騰のため履行期に債権額との間に著しいアンバランスを生ずるような状況が生じたので、判例はそれが担保のためになされることに着目し、その差額を清算すべきであるとするようになった。 これを受けて、仮登記担保契約に関する法律(昭和53年制定)が制定されたが、これによると、代物弁済の予約等で仮登記、仮登録のできるものについては、予約の完結等があったときでも2カ月の清算期間を過ぎないと所有権は移転せず(仮登記担保契約に関する法律2条)、清算が終わらなければなお5年間債務者の土地等の受戻しを認める(同法11条)。
代襲相続 (だいしゅうそうぞく) 相続開始以前に、相続人となるべき子・兄弟姉妹が死亡し、又は相続欠格(被相続人を殺したり殺そうとしよう とした者等で相続人となる資格のないこと)若しくは廃除(被相続人の請求により相続権が奪われること) により相続権を失ったとき、その者の直系卑属(子・孫等の後世代の者)がその者に代わってその者の受けるはずであった相続分を相続すること(民法887条、同法889条)。子の代襲者が相続開始以前に死亡し、又は相続欠格若しくは廃除により相続権を失ったときも同様な形で代襄相続(再代雲) していくことになるが、兄弟姉妹の代襄相続には再代襲はない。 被相続人の養子の子については、養子縁組前の子は被相続人と親族関係がない(同法727条)ため直系卑属とはならず、代襲相続できない。これに対し養子縁組後に生まれた子は直系卑属となり、代襲相続ができる。 なお、相続放棄した者は初めから相続人とはならなかったものとみなされる(同法938条)ため、代襲相続はない。
任意後見制度 (にんいこうけんせいど) 精神上の障害により事理を弁識する能力(物事の筋道をわきまえ職る能力)が不十分な状況になった場合に備えて、自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を、後見人(任意後見人、任意後見監督人が選任される前は任意後見受任者という)に委託し、その委託にかかわる事務について代理権を付与する契約(任意後見契約)を締結し、本人が事理を弁識する能力が 不十分な状況になった場合、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して任意後見人の事務を監督等する制度。 平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で制定された成年後見(後見・保佐・補助)制度に伴い、任意後見契約に関する法律(平成12年4月1日施行)で新たに導入された。 任意後見契約は、任意後見監督人が選任された時から効力を生ずる旨の定めのある契約で、公正証書で作成しなければならない(任意後見契約に関する法律2条1項、同法3条)。公正証書が作成されると任意後見契約の登記がされる。 また、任意後見人の代理権の消滅は登記をしなければ善意の第三者に対抗することができない(同法11条)。任意後見契約と法定成年後見制度は、競合しない建前がとられている(同法10条)。任意後見契約の公正証書が作成されると、法務大臣が指定する法務局が、後見登記等ファイルに任意後見契約の内容を記録する(後見登記等に関する法律5条)。
住宅の品質確保の促進等に関する 法律 (じゅうたくのひんしつかくほのそくしんとうにかんするほうりつ) 住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係る紛争の処理体制を整備するととも に、新築住宅の請負契約又は売買契約における暇疵担保責任について特別の定めをすることにより、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図ることを目的として平成12年4月1日から施行された法律。 本法では、住宅の建設工事の請負人は、請負契約書に住宅性能評価書やその写しを添付し又は注文者に交付した 場合は、その住宅性能評価書等に表示された性能を有する住宅の建設工事を行うことを契約したとみなされる(6条1項)、また、新築住宅の売主は、売買契約書に住宅性能評価書やその写しを添付し又は買主に交付した場合は、その住宅性能評価書等に表示された性能を有する新築住宅を引き渡すことを契約したとみなされる(6条2項)等の定めがある。 住宅性能評価は、住宅の請負工事発注者や新築住宅の供給者の申請により任意に行われるもので、全ての住宅に 義務付けられたものではない。 宅建業法には、建物の売買又は交換の契約にあっては、建物が住宅品質確保法に規定する住宅性能評価を受けた 新築住宅であるときはその旨を重要事項説明書の記載事項とする規定がある(宅建業法施行規則16条の4の2)。
住宅着工統計 (じゅうたくちゃっこうとうけい) 建築着工統計調査のうち、住宅の新設、増改築の着工動向について、国土交通省が毎月発表している統計資料のこと。 集計項目には、着工住宅の戸数、種類、建築工法、利用関係、資金調達区分等がある。特に、新設住宅着工に 関するデータは、住宅建設の動向を表すものとして重視されている。
住宅街区整備事業 (じゅうたくがいくせいびじぎょう) 大都市地域における住宅及び住宅地の供給を促進するため、大量の住宅及び住宅地の供給と良好な住宅街区の整 備を図ることを目的として制定された、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法に 基づき実施される、土地の区画形質の変更、公共施設の新設又は変更及び共同住宅の建設に関する事業並びにこれに附帯する事業のこと(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法29条)。
供託 (きょうたく) 法令により金銭・有価証券又はその他の物品を供託所(法務局、地方法務局、その支局又は法務大臣の指定する 法務局等の出張所)に寄託することをいう。 供託原因によって分類すると次のとおり。①債務消滅のためにする供託(弁済供託)。一般的には、債権者の受領拒否、受領不能及び債務者の過失なしに債権者を確知できないときの供託(民法494条等)。②債権担保のためにする供託(担保供託)。相手方に生ずる損害を担保するための供託(宅建業法25条、旅行業法7条等)。③単に保管を依頼するだけの供託(保管供託)。他人のものを勝手に処分できない事情があるときの供託(民法367条質権設定の際の支払いに関する供託等)。④その他の供託(特殊供託)。公職選挙立候補者の供託(公職選挙法92条)等。供託の方法及び場所等については、供託法及び宅建業法等それぞれの法律で定められている。
保佐 (ほさ) 精神上の障害によって事理を弁識する能力(物事の筋道をわきまえ識る能力)が著しく不十分な者について、本人・配偶者・4親等内の親族等の請求により、家庭裁判所の審判で開始される制度で(民法7条)、平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で、従来の準禁治産に代わって導入された。 被保佐人が、同法12条1項に列記された不動産等の重要な財産に関する権利の取得・処分、新築・改築・増築・大修繕等の行為を行う場合は、家庭裁判所で付された「保佐人」の同意が必要で、同意を得ないで行ったときは取り消すことができる。 ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消すことができない(同法12条)。 被保佐人が行った行為に関する取消権は、被保佐人本人等のほか保佐人にも与えられており(同法120条1項)、追認権も与えられている(同法122条)。 また、家庭裁判所は、本人・配偶者.4親等内の親族等の請求により、保佐人に不動産の売却等特定な法律行為について代理権を与えることができる(同法876条の4第1項)。 保佐が開始されると、法務大臣が指定する法務局が、後見登記等ファイルに被保佐人の氏名・保佐人の氏名等を記録する(後見登記等に関する法律4条)。
信用保証会社 (しんようほしょうかいしゃ) 住宅ローンにおける担保物件の調査、担保権の設定、担保物件の管理、事故債権の管理、回収等の与信手続、 管理を一元的に行うことにより住宅ローンの保証業務を行う会社である。信用保証会社を利用する側にとって次のメリットがある。 ①借入人にとって、適当な保証人を見出すことが困難な場合、一定の保証料を支払うことにより、保証会社の保証を利用することができる。②提携会社にとって提携先保証方式に伴う住宅ローンの保証債務負担及び不動産の担保管理を保証会社に肩代わりしてもらうことができる。
信託 (しんたく) 財産権を持っている人(委託者)が、その財産権の名義や管理権を信頼できる人(受託者)に引渡し、その財産(信託財産)を一定の目的(信託目的)に従って、自分又は第三者(受益者)のために、管理したり処分したりしてもらう制度。 委任、代理の場合は、所有権が本人に帰属したままであり、本人も代理人と競合的に財産権を処分する権能を持 つのが通例であるのに対し、信託の場合は、信託行為によって、財産権の名義は受託者に移転するとともに、受託者は、信託行為で定められたところにより(委託者の意思に従って)財産を排他的に処分・管理する権能を有している。 信託に関する法令としては、信託の定義や仕組みを定めた「信託法」と、事業として信託を手がける場合のルールを盛り込んだ「信託業法」の2法がある。
信託受益権 (しんたくじゅえきけん) 信託期間中に受益者が信託財産から生じる収益を受け取る権利及び信託期間が終了したときに元本である財産を 受け取る権利のこと。 不動産証券化のスキーム(仕組み)では、信託受益権が小口に分割され、複数の投資家に譲渡される。
催告 (さいこく) 債務者に債務の履行を求めたり、制限能力者や無権代理人の行為を追認するかどうか確答を求めたりすることを いう。 債務者に対し催告をした後、6カ月以内に裁判上の請求、差押え、仮差押え等の手続をすると時効中断の事由となり(民法153条)、期限の定めのない債務については履行遅滞の効果を生じ(同法412条3項)、債務不履行による契約解除権を発生させる(同法541条)。また、制限能力者が能力者となった後その相手方がこれに催告し、一定の期間経過後確答がなければ、その行為を追認したものとみなされ(同法19条1項)、無権代理人と法律行為をした相手方が本人に催告し、一定の期間経過後確答がなければ、その行為の追認を拒絶したものとみなされる(同法114条)。催告は、口頭でしてもよいが、配達証明付内容証明郵便ですると、証拠を残すことができる。
催告の抗弁権 (さいこくのこうべんけん) 保証人丙が債権者甲から請求を受けたのに対して、まず主たる債務者乙に催告するよう主張できる権利をいう (民法452条)。丙の債務は、乙が履行しない場合の補充的なものであるから、検索の抗弁権と並んで催告の抗弁権が与えられる。 甲は催告の抗弁に対して乙への催告を証明すれば、再び丙に対する請求ができる。催告の抗弁にかかわらず甲が乙への催告をしないで、乙から全部の弁済を受けられないようになった場合には、直ちに催告すれば乙から弁済を得られたであろう額について、丙は免責される(同法455条)。催告の抗弁権は、乙が破産したとき、行方不明となったとき(同法452条ただし書)、または連帯保証のとき(同法454条) には、認められない。
債務 (さいむ) 甲が乙に対して、金銭の支払、物の引渡し、一定の積極的行為(作為)又は消極的行為(不作為)を求めること のできる法律上の地位を債権といい、乙が甲に対して負うこれらの義務を債務という。
債務不履行 (さいむふりこう) 債務者が、その責めに帰すべき事由(故意、過失)によって、債務の本旨に従った履行をしないことをいう(民 法415条)。履行期に遅れた履行遅滞、履行することができなくなった履行不能、及び履行はしたが十分でなかった不完全履行の3つの態様がある。 履行遅滞と不完全履行で、まだ履行の余地のある場合には、裁判、執行によって債務自体の履行の強制もできるが、債権者はこれとともに損害賠償の請求もできる(同法415条前段)。履行不能又は不完全履行で、もはや履行の余地のない場合には、これに代わる損害賠償請求ができる(同法415条後段)。また双務契約などの場合には、債権者は契約を解除して自己の債務を免れ、もしくは原状回復を図ることができる。
債権 (さいけん) 債権は物権に対する概念である。 物権は物に対する支配的絶対的な権利であるが、債権は人に対する権利であるから、同じ債務者乙に対して甲からの、あるいは甲丙両名からの同一種類の数個の債権が成立しうる。ただし債権についても第三者からの侵害に対し不法行為の成立が認められ、譲渡性もある(民法466条本文)。債権は債務者がこれを履行しないと損害賠償債権に転化し、また裁判に基づく執行により強制されることもある。
債権者代位権 (さいけんはだいいけん) 債権者甲が債務者乙に対する債権を保全するため、乙に代わって乙の第三者丙に対する権利を行使しうる権利を いう(民法423条)。甲の債権は金銭債権のみならず、所有権移転登記請求権などでもよい。乙の権利は丙に対する金銭債権、登記請求権等種々のものがありうるが、乙でなければ行使できないような一身専属権は除外される(同法423条1項ただし書)。ただし債権者代位権は甲の債権の保全のため認められるのであるから、甲の債権が金銭債権の場合には、原則として、乙が他に財産を有し、甲がそれから弁済を受けられるような場合には認められない。 また甲の債権が弁済期未到来の場合には、保存行為を除き裁判上の代位によらなければならない。
先取特権 (さきどりとっけん) 法定の債権を有するものが、債務者の一般財産又は特定の動産若しくは不動産について、一般債権に優先して弁 済を受けうる法定の担保権をいう(民法303条以下)。例えば雇人は最後の6カ月分の給料債権について雇主の一般財産のうえに(同法306条2号、同法308条、商法295条)、商品の売主はその代金債権について売却商品のうえに(民法311条6号、同法322条)、また不動産の工事をした者は工事費についてその不動産のうえに(同法325条2号、同法327条)それぞれ先取特権を有する。先取特権の実行は一般的には担保権の実行(民事執行法181条以下)による。また特別の先取特権は、破産手続では別除権(破産法92条)、会社更生手続では更生担保権(会社更生法123条)として行使される。
先買い制度 (さきがいせいど) 公共事業の施行に際して、土地等の投機的売買の防止と事業の円滑な施行を図るための、事業に必要な土地等が 有償で譲渡されようとするときに、その事業の施行者が先に買い取ることを認める制度である。都計法における都市計画施設の区域内の土地及び市街地開発事業の区域内の土地並びに事業地内の土地建物等の先買い制度(都計法57条、同法67条)、公有地の拡大の推進に関する法律における都市計画区域内の土地の先買い制度(公有地の拡大の推進に関する法律5条)等がある。
全国新幹線鉄道整備法 (ぜんこくしんかんせんてつどうせいびほう) 新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図ることを目的として昭和45年 に制定された法律。 国土交通大臣は、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線建設に関して、建設を行う建設主体を指名し、整備計画を 決定し、建設の指示を行うこと(6条~8条)、建設主体は、工事区間、工事方法等の工事実施計画を作成し国土交通大臣の認可を受けること(9条)、国土交通大臣は、建設に要する土地で行為の制限が必要であると認める区域を「行為制限区域」に指定できること(1()条)、行為制限区域内では、原則として土地の形質の変更又は工作物の新設・改築・増築が禁止されること(11条1項)等を定めている。行為制限区域の指定は関係地方運輸局及び建設主体の事務所その他国土交通大臣が指定する場所で確認することができる。
公告 (こうこく) ある事項を広く一般の人に知らせるための方法のこと。 公告の効力、方法等は一律ではなく、目的等もさまざまで、①債権申出の公告や強制競売の開始決定等の公告等、利害関係人の範囲が広範囲に及んで特定できないときに、これらの者に対して、権利の行使・異議申出等の機会を与えるもの(宅建業法30条2項、「営業保証金の取戻し」、同法64条の11第4項「弁済業務保証金の取戻し等」、同法64条の24第1項「指定取消し等の場合の弁済業務」参照)、②国家公務員の採用試験の告知の公告や商業登記の登記事項の公告等、一定の事項を社会一般に公示するもの(同法70条1項「監督処分の公告等」参照)、③還付不能物の公告等、所在不明者に対する通知手段のためのもの(同法67条1項「免許の取消し」参照)等がある。 公告の効力は、単なる公示方法としての意義の場合もあるが、公示催告のように適当な手続を取らなかった場合 には、失権等の不利な効果を生じるものが多い。
公正取引委員会 (こうせいとりひきいいんかい) 私的独占や不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、公正且つ自由な競争の促進を達成することを任務と して置かれた組織(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法) 27条)。私的独占の規制、不当な取引制限の規制、不公正な取引方法の規制及び独占的状態に係る規制に関する事務等を行う。 平成15年4月9日より内閣府の外局となるが、委員長及び委員は、独立してその職権を行い、在任中は原則としてその意に反して罷免されることがない。
公正証書 (こうせいしょうしょ) 公証人が私人の法律行為その他私権に関する事実について作成する証書をいう(公証人法1条)。公正証書は、公 証人の面前において嘱託人がした陳述又は金銭の授受などの行為を、公証人が聴取又は目撃して作成する(同法35条)。公正証書は、訴訟手続上強い証明力を有し(民事訴訟法228条2項)、債権譲渡などでは確定日付のある文書とされ(民法467条2項、民法施行法5条1項1号)、遺言については家庭裁判所での検認の手続が不要とされ(民法969条、同法1004条2項)、さらに金銭の支払についての公正証書で債務者が執行を受諾する旨の文言のあるもの(執行証言) は、債務名義として債務者の財産を差し押さえたりすることにも利用される(民事執行法22条5号)。
公示の原則・公信の原則 (こうじのげんそく・こうしんのげんそく) ともに物権に関する基本原則であり、物権の変動は常に外部から認識できるよう一定の表象がなされねばならぬというのが公示の原則、この外形的表象を信頼して取引した者は、たとえ表象が真実と一致しない場合でも、そ の表象どおりの権利を認められるというのが公信の原則である。 公示方法は不動産では登記、動産では占有であり、物権の得喪変更を第三者に対抗するためには、不動産は登記(民法177条)、動産は引渡し(同法178条)を必要とする。ただし不動産でも借地権については特例があり(借地借家法10条)、農地(農地法18条)、建物(借地借家法31条)の賃借権は引渡しを、動産でも航空機(航空法3条の3)、自動車(道路運送車両法5条1項)などは登録を公示方法とする。公信の原則は動産についてだけ適用され(民法192条)、不動産には適用がない㈲
再調達原価 (さいちょうたつげんか) 対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額のこと。 建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求められる。不動産鑑定評価の原価法は、この再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができる場合に適用することのできる手法である。
制限能力者 (せいげんのうりょくしゃ) 契約といった法律上の行為を単独で行うことができる行為能力が制限された者のこと。 民法は、「私権の享有は出生に始まる」(民法1条の3)として、すべての人間(自然人)に権利能力を認めるが、不動産の取引のような契約を有効な法律行為として成立させるためには、その行為について通常人なみの理解及び判断する能力(意思能力)を備えていることを要求する。 しかし、意思能力を各人の個々の具体的な行為ごとに判定するのは容易ではないため、能力が不十分であるとする者を定型化し、法定代理人等の保護者をつけて能力不足を補わさせる反面、保護者の権限を無視した被保護者の行為の取消しができることとした。 従来は、未成年者・禁治産者・準禁治産者という3つの範晴を設け、「行為無能力者」又は「無能力者」と呼んで いたものを、平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で、未成年者に対する制度は残し、新たに「成年後見 制度」を設け、禁治産・準禁治産の制度を廃止し、後見・保佐・補助の3類型が導入された。その際、従来の「無能力者」という表現は「制限能力者」と改められた。
占有権 (せんゆうけん) 自己のためにする意思で、物を所持するという事実状態(占有)が権利として認められることをいう(民法180 条)。このような事実状態が権利として認められるのは、社会の現状を一応正しいものとして、これを保護し秩序を維持しようとするためである。 したがって民法は、占有者は所有の意思をもって善意.平穏かつ公然に占有するもの(同法186条)、並びに占有者が占有物の上に行使する権利はこれを適法に有するものと推定している(同法188条)。そして占有権者は、自己の占有が侵害されようとするときには、占有の訴によって救済を受けられる(同法197条以下)。占有権は所有権などの本権とは別個のものであるから、この訴は本権の訴とは別の扱いを受ける(同法202条)。
原価法 (げんかほう) 不動産鑑定評価の3方式の一つ。 不動産の価格を求める手法で価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格) を求めるものである。原価法は再調達原価の把握及び減価修正を適正に行い得る場合は有効であり、土地についても、再調達原価を求め得る造成地、埋立地等の場合はこの手法を適用できる。 しかし、既成市街地における土地のように、再調達原価を把握できない場合は、この手法の適用は困難である。
収益還元法 (しゅうえきかんげんほう) 不動産の価格を求める鑑定評価手法のひとつで、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在 価値の緩和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格) を求める方法である。 収益還元法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法(直接還元法) と、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格(売却価格等) を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法(DCF法)がある。 収益目的のために用いられている不動産、例えば、賃貸用不動産又は企業用不動産の鑑定評価額を求めるにあたっては、とくに有効な手法である。
取り消し (とりけし) 暇疵(かし)ある意思表示ないし法律行為の効力を、初めに遡って消滅させることをいう。 成年被後見人等の制限能力者や、詐欺・強迫により意思表示をした者は、その意思表示ないし法律行為を取り消すことができる(民法120条)。 取り消された行為は初めから無効であったものとみなされ(同法121条本文)、当事者は受領した物を返還しなければならないが、制限能力者の場合には、現に受ける限度で償還すればよい(同条ただし書)。取消しの効果は、第三者にも主張することができるが、詐欺による取消しだけは善意の第三者に主張することができない(同法96条3項)。 取消権は追認をなしうる時から5年、行為の時からは20年で消滅する(同法126条)。民法にはこれらのほかにも取消しが規定されている(同法424条、同法550条、同法754条、同法865条、同法1022条等)が、その効力等は異なる。
古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法 (ことにおけるれきしてきふうどのほぞんにかんするtおくべつそちほう) 古都における歴史的風土を保存するために国等において講ずべき特別の措置を定めることを目的として昭和41年に制定された法律。 この法律でいう古都とは、京都市、奈良市、鎌倉市及び政令で定めるその他の市町村(平成15年3月末現在、天 理市、橿原市、桜井市、奈良県生駒郡斑鳩町、同県高市郡明日香村及び逗子市)である(2条)。国土交通大臣は古都における歴史的風土を保存するため必要な土地の区域を歴史的風土保存区域として指定することができ(4条)、かつ歴史的風土保存区域内において歴史的風土の保存上の枢要な部分を構成している地域については、都市計画に「歴史的風土特別保存地区」を定めることができること(6条)、歴史的風土特別保存地区内で建築物等の新築、改・増築、土地の形質の変更、木竹の伐採等を行う場合は原則として府県知事の許可を受けなければならないこと(8条1項)等を定めている。歴史的風土特別保存地区は府県及び市町村で確認することができ、また、その区域内にそれを表示する標識が設置される。
司法書士 (しほうしょし) 他人の依頼を受け、①登記又は供託に関する手続について代理する、②法務局又は地方法務局に提出する書類を 作成する、③法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理する、④裁判所又は検察庁に提出する書類を作成する、⑤前記①~④の事務について相談に応ずる、⑥簡易裁判所における訴訟代理等(民事訴訟手続、訴えの提起前の和解の手続、支払督促の手続、証拠保全の手続、民事保全の手続、民事調停の手続等)を行う、⑦民事に関する紛争について、相談に応じ又は裁判外の和解について代理することを業とする者のこと(司法書士法3条)。ただし、⑥及び⑦の業務については、訴訟・請求等の価格が90万円を超えない額を限度として、法務大臣が指定した研修を修了し、認定を受けた司法書士会の会員である司法書士に限って行うことができる(同法3条2項)。司法書士の資格は、司法書士試験に合格した者及び裁判所事務官・裁判所 書記官・法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して10年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であって法務大臣が認めた者が有し(同法4条)、司法書士となるには日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿に登録を受けなければならない(同法8条)。なお、平成15年4月1日施行の改正司法書士法により、司法書士は司法書士法人を設立することができることとなった(同法26条以下)。
告示 (こくじ) 国などの公の機関がその決定した事項やその他の一定事項を公式に広く一般に知らせること及び知らせるための 形式のことを告示という。各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合は告示を発することができる(国家行政組織法14条)。例えば、宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受け取ることのできる報酬の額は告示(昭和45年10月23日建設省告示第1552号)による。
善意と悪意 (ぜんいとあくい) 善意とはある事実を知らないこと、悪意とはある事実を知っていることをいう。 道徳上の善悪の価値判断とは別の概念である。 法律上は、善意であるか悪意であるかによって違いが生じることが多い。 例えば、差押えを逃れるため甲乙が通謀して甲の土地を乙に売ったことにして所有権移転登記を完了したとして も、甲乙の売買は虚偽表示として無効であるが(民法94条1項)、乙からその土地を買い受けた丙において、甲乙の行為が虚偽表示であることを知らない(善意) ときは、甲又は乙から丙に対して、虚偽表示による無効を主張することができない(同法94条2項)。反対に丙がそれを知っていれば(悪意ならば)、甲乙から無効を主張することができる。
営業保証金 (えいぎょうほしょうきん) 宅建業者の営業上の取引による債務の支払を担保するための保証金であり、宅建業者の営業活動の社会的安全 を確保するために、営業の開始にあたって供託所に供託される金銭である。昭和27年の宅建業法の制定以来、種々の指導・監督が行われてきたが、業者の責めに帰すべき理由によって生じた事故や紛争があとを絶たず、消費者に損害を与える事例も多く、公正かつ円滑な取引が阻害される面がみられた。そこで、宅建業者による不動産取引の社会的安全を確保するため、宅建業者の業務に対する規制だけでなく、昭和32年の宅建業法の改正により新たに営業保証金制度を設け、万一事故等が生じた場合にこの保証金から補填することにより消費者の被害を最小限にとどめることとしたものである
営業保証金の供託 (えいぎょうほしょうきんのきょうたく) 営業保証金の供託が必要となるのは、①宅地建物取引業を新たに営もうとするとき、②支店等の事務所を新設 するとき、③営業保証金の還付により営業保証金が不足するとき、④有価証券で供託している場合で、主たる事務所を移転したため最寄りの供託所が変更したときである。 営業保証金は、金銭のほか国土交通省令で定める有価証券をもってあてることもでき、その額は主たる事務所が1,000万円、その他の事務所は事務所ごとに500万円として計算した金額の合計額で、主たる事務所の最寄りの供託所(法務局、地方法務局、支局及び出張所)に供託する(宅建業法25条)。なお、宅地建物取引業保証協会の会員は営業保証金を供託する必要はないが、同協会に弁済業務保証金分担金の納付(主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円)が必要となる
営業保証金の保管替え (えいぎょうほしょうきんのほかんがえ) 本店等の主たる事務所が移転し、最寄りの供託所が変更となった場合に、移転後の主たる事務所の最寄りの供託 所に営業保証金を供託した後、従前の営業保証金を取り戻すこととなるが、このような手続をせずに、従前の主たる事務所の最寄りの供託所から移転後の最寄りの供託所に営業保証金を送付してもらうことをいう。 この保管替えができるのは、営業保証金を金銭のみをもって供託している場合で、従前の供託所に所定の手続により保管替えの請求をしなければならない。なお、金銭と有価証券又は有価証券のみで供託している場合は、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に供託したうえで、従前の供託所に供託してある営業保証金を取り戻すこととなる。この場合には、取戻しの公告をする必要はない。
営業保証金の取り戻し (えいぎょうほしょうきんのとりもどし) 営業保証金を供託しておく必要がなくなったときは、供託してある営業保証金を取り戻すことができる。 これができるのは、①免許が効力を失ったとき、②免許を取り消されたとき、③一部の事務所を廃止し営業保証金の額が所定の額を超えることとなったとき、④主たる事務所が移転し新たに供託しなければならないときである。取戻しは、その理由が発生すれば直ちに可能となるのではなく、還付請求権を有する者に対して6カ月以上で定めた期間内に還付の申出をするよう公告することを要し、その期間内に申出がなかった場合に取り戻すことができる。 ただし、営業保証金を取り戻すことができる事由が発生してから10年を経過した場合及び主たる事務所の移転に伴う場合は公告の必要はない。
団体信用生命保険 (だんたいしんようせいめいほけん) 住宅ローンにおいて金融機関が生命保険会社と契約した「団体信用生命保険」の被保険者団体に借入人を加入さ せ、万一本人に死亡などの保険事故が発生した場合、生命保険会社より支払われる保険金により、借入人の残債務を回収するものである。 この保険の仕組みは、金融機関を保険契約者並びに保険金受取人とし、生命保険会社を保険者、借入人を被保険者としたもので、融資残高額を保険金額、融資期間を保険期間とする掛捨保険である。銀行の住宅ローンでは団体信用生命保険へ加入資格があることが貸付条件となっている。
団地管理組合 (だんちかんりくみあい) 数棟のマンションが集まっている団地で、その団地内の土地又は付属施設(これらに関する権利を含む)が、そ れらの建物の所有者の共有に属する場合には、それらの所有者は全員でその団地内の土地、付属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成することができる(区分所有法65条)。 したがって、管理組合を一棟ごとで組織するか、団地全体として組織するかは、当該マンションの特色に合った方法で行えばよい。この選択に当たっては、団地共用部分の比重、棟ごとの均質性、管理責任、費用負担等を十分検討して決定すべきであろう。
国土利用計画 (こくどりようけいかく) 国土利用計画法に基づき策定される国土の利用に関し、最も基本となる計画であり、行政上の指針となるもので ある。 全国計画、都道府県計画及び市町村計画からなり、国土利用に関する基本構想、利用目的に応じた区分ごとの規模の目標と、その地域別の概要、及びこれを達成するために必要な措置の概要を定めている。第一次の全国計 画が昭和51年、第二次の全国計画が昭和60年、第三次の全国計画が平成8年2月23日に閣議決定された。また、都道府県計画もそれぞれ平成8年12月24日に議決された。第三次の全国計画及び都道府県計画の基準年度は平成4年、目標年次は平成17年とされている。
国土利用計画法 (こくどりようけいかくほう) 国土利用計画の策定に関し、必要な事項を定め、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他の土地利用を調整するための措置を講ずることを目的に昭和49年に制定された法律。 都道府県知事は、都市計画区域のうち、土地の投機的取引が集中して行われ、地価が急激に上昇する区域等を規 制区域として指定すること(12条)、規制区域内の土地の権利の移転等をする契約を締結する場合は、都道府県知事の許可を受けなければならないこと(14条1項)、一定規模以上の土地(市街化区域2,000ml以上、その他の都市計 画区域5,000㎡以上、その他の地域10,000m2以上)の売買等の契約を締結した場合には、権利取得者は、その契約を締結した日から2週間以内に都道府県知事に届け出なければならないこと(23条1項)、都道府県知事は、地価が一定の期間内に国土交通大臣が定める基準を超えて上昇する区域等を注視区域として、地価が急激に上昇し合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を監視区域として、指定することができること(27条の3,27条の6)、注視区域内及び監視区域内の土地の権利の移転等をする契約を締結する場合は、都道府県知事に届出をしなければならないこと、届出をした者は、6週間を経過する日までの間は売買等の契約を締結してはならないこと(27条の4第1項、27条の4第3項、27条の7第1項で準用する場合)等を定めている。 注視区域、監視区域の指定は都道府県で確認することができる。
国民生活センター (こくみんせいかつせんたー) 国民生活の安定・向上に寄与するため、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うことを目的とする独立 行政法人。平成14年12月4日に施行された独立行政法人国民生活センター法により、平成15年1()月1日に特殊法人国民生活センターが解散し、その事業等を引き継ぐ。消費生活相談をはじめとした種々の情報を全国の消費生活センターなどから収集し、消費者被害の未然防止・拡大防止のための分析・提供など、全国の消費生活センターの中核的な機能を持つ。
土地家屋調査士 (とちかおくちょうさし) 土地家屋調査士試験に合格した者等で、土地家屋調査士法に基づき日本土地家屋調査士会連合会に対して土地家屋調査士名簿に登録の申請をし、その登録を受けた者をいう。土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量、申請手続又は審査請求の手続をすることを業とする。 資格は土地家屋調査士試験に合格した者、法務局又は地方法務局において不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算10年以上になる者、法務大臣が調査士業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めた者に限られる。
地上げ (じあげ) 不動産業者が土地等を購入することであり、これを行うことを地上げ活動という。 一般に事務所用地、分譲用地の買収など事業用の土地を確保する場合に用いられる。地上げ活動は不動産業者が自らの事業のために行う場合のほか、顧客からの依頼に基づき不動産業者がいったん購入したうえで顧客に 転売する場合、顧客の依頼に基づいて媒介する場合がある。地上げ活動の範囲は土地のみならず建物の買収、借家人の立退き交渉等幅広く、その土地を直ちに利用できる状態にすることまで含まれる。この地上げを専門に行う業者のことを地上げ業者という。なお「地揚げ」と書くと、一般的には建築土木工事で地盤の低い所に土を盛って人工地盤を作ることに用いられる。
地面師 (じめんし) 他人所有の土地や家屋の所有者等になりすまして第三者から金員を賑し取る詐欺師のこと。常習者数人のグルー プによる犯行がほとんどであり、手口は、①必要証書等を偽造して所有権移転登記を行う、②登記簿を閲覧中、登記記載事項を改ざんしたり、他に用意した登記用紙と差し換えて所有者を装う、③所有者から他の目的で預った印鑑又は白紙委任状を悪用する、④物件処分の委任を受けているように装う、などにより他人の土地や家屋を自己所有と偽って第三者に売りつけたり、買受人に他人の土地を見せ、自己所有と偽り売買契約を結び手付金を編し取るなどである。
妨害排除請求権 (ぼうがいはいじょせいきゅうけん) 所有権等の物権の権利者が、その目的物を占有侵奪以外の方法で侵害している者に対して、排除を請求することのできる権利をいう。 占有侵奪の場合にその回復を求める返還請求権、将来の妨害の予防を求める妨害予防請求権と並んで物権的(又は物上的)請求権の一つを成すものである。わが民法は、占有権について、占有保持、占有保全及び占有回収の各訴を認める(民法198ないし200条)のみであるが、解釈上は、物権一般についての物権的請求権も認められている。 妨害排除請求権は、所有権者から不真実な登記名義人に対する抹消等の登記請求をする場合とか、抵当権者から目的地上の樹木の伐採禁止請求をする場合等にも、認められる。
嫡出子 (ちゃくしゅつし) 実子(親との間に生理的血縁関係があると法律上認められる子)のうち、法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生 まれた子のこと。 妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定され、さらに婚姻成立の日から200日後又は婚姻の解消若しくは取消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定される(民法772条)。夫が嫡出を否認する場合は、子の出生を知った時から一年以内に提起することを要するが、子の出生後に嫡出であることを承認した場合には否認権は失われる(同法774条、同法776条、同法777条)。
対抗要件 (たいくようけん) 当事者間の権利関係の得喪変更を第三者に対して主張しうるための法律要件をいう。 権利の目的によって内容が異なる。不動産では登記が対抗要件であり、例えば土地の所有者甲から土地を二重に譲り受けた乙と丙のうち、丙が先に所有権移転登記をすると、讓受契約が乙より後であっても、乙に対して所有権を取得したと主張でき、反対に登記をしない乙は丙に所有権の主張ができない(民法177条)。 動産の場合には引渡しが対抗要件である(同法178条)。指名債権では、例えば甲が丁に対する貸金債権を乙に譲渡したことを丁に対抗するためには、甲の丁に対する通知または丁の承諾が必要であり、また甲が乙丙に二重に譲渡した場合の乙丙の優劣を決するには、甲の丁に対する確定日付のある証書による通知の到達、または丁の確定日付のある証書による承諾の前後による(同法467条)。金銭債権の譲渡においては、第三者に対する対抗要件を具備しないと、債権譲渡人が破産した場合、第三者(破産管財人を含む)に対抗できなくなるおそれがある。 通常、債権譲渡の対抗要件は、債務者の承諾又は通知が必要とされるが、平成10年に施行された「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」により、法人の有する金銭債権については、債務者の了承なしでも当該債権の譲渡について登記することで第三者対抗要件を具備できることになった。ただし、債務者に対する対抗要件を具備するためには、通常の債務者への通知等の手続が必要となる。
少額訴訟制度 (しょうがくそしょうせいど) 簡易裁判所で扱う訴訟のうち、30万円以下の金銭の支払を求めるものについて一般市民が弁護士等の代理人に依頼することなく簡単に利用できるようにした特別の訴訟手続で、平成10年1月から施行されている。 簡便な手続により、少額事件における泣き寝入りを防止する目的があるが、金融業者等の取立業務のために占領されることを回避するため、利用回数については、同一人が同一の簡易裁判所に対して、同一年に10回までとされている。判決については、原則として第1回期日の弁論終了後直ちに言い渡されることとなっており、原告勝訴(金銭の支払を認める)判決の場合であっても、被告に対し、支払猶予あるいは分割払を定めることができ、分割払判決で遅滞なく元本を返済した場合、訴え提起後の遅延損害金は免除することを判決の内容とすることができる(民事訴訟法368条以下)。
差押え (さしおさえ) 債務者の財産の処分を禁止するための執行裁判所又は執行官の執行処分をいう。 債権者は、判決等の債務名義(民事執行法22条) に執行文(同法26条)の付与を受けて、債務者の財産が不動 産又は債権である場合には執行裁判所に(同法44条、同法144条)、動産であれば執行官に(同法122条)執行の申立てをすると、不動産では競売開始決定において差押えが宣言され(同法45条1項、同法46条)、債権では差押命令が発せられ(同法143条、同法145条)、また動産では執行官の占有によって(同法123条)差押えがなされる。その後不動産、動産は入札又は競り売り等で換価される(同法64条、同法134条)が、債権の場合は債権者が直接第三債務者から取り立てることができる(同法155条)。
広告の開始時期の制限 (こうこくのかいしじきのせいげん) 宅建業者が、未完成の宅地や建物について売買等の広告をしようとする場合には、取引物件である宅地や建物に ついて行う造成工事や建築工事に関して必要な一定の許可等を受けてからでなければ、広告を開始してはならないことになっている(宅建業法33条)。ここで制限しているのは、宅建業者が売買・交換の当事者となる場合と、売買・交換・貸借の媒介・代理を行う場合の広告についてである。一定の許可とは、都計法29条の許可、建基法6条1項の確認及び宅建業法施行令2条の4により規定された許認可等である。
延納 (えんのう) 申告納税にあたり納付期限内に金銭納付できない税額について、一定の手続きにより延期納付(災害特例あり) すること。 所得税については、確定申告期限(3月15B) までに2分の1以上を納付し、残りを5月31日までに納付する。 相続税は、税額が10万円を超える場合で、担保と申請により原則として5年以内(特定の場合10年、15年、20年)である。贈与税の場合は相続税と同じ方法で5年以内となっている。なお、利子税は現在、一定日における 公定歩合に連動し、定められることになる。地方税は、徴収猶予制度となっており、災害等その他の特別な事情がなければ認められていない。
建付地 (たてつけち) 宅地の態様の一つであり、更地(さらち) とは異なり、宅地の上に建物等が存在するが、その所有者は宅地の所有者と同一人であり、かつ、その宅地の使用収益を制約する権利が付着していない宅地をいう。 すなわち、自用の建物等の敷地のことである。 鑑定評価にあっては、建物の種類等の宅地の使用状況には関係なく、その宅地の最有効使用の状況により判断する。
後見 (こうけん) 精神上の障害によって事理を弁識する能力(物事の筋道をわきまえ識る能力) を欠く常況にある者について、本人・配偶者・4親等内の親族等の請求により、家庭裁判所の審判で開始される制度で(民法7条)、平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で、従来の禁治産に代わって導入された。未成年者に対する後見の制度もある。 成年被後見人の不動産の売却等の法律行為は、常に取り消し得るカヨ、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消すことができない(同法9条)。成年被後見人と不動産売買契約等の法律行為を有効に締結するには、家庭裁判所で付された「成年後見人」に代理して締結してもらう必要がある。 ただし、成年後見人が成年被後見人の居住する土地・建物について売却・賃貸・賃貸借の解除・抵当権の設定等の処分行為を行うには家庭裁判所の許可を要する(同法859条の3)。後見開始の審判により後見が開始されると、法務大臣が指定する法務局が、後見登記等ファイルに成年被後見人の氏名・成年後見人の氏名等を記録する(後見登記等に関する法律4条)。 また、未成年者に対して親権を行う者がいないとき又は親権を行う者が管理権を有しない場合に後見が開始され る(民法838条)。未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができ、未成年後見人となるべき者がいないときは、家庭裁判所は未成年被後見人又は親族等の請求により未成年後見人を選任する(同法839条、同法840条)。
心裡留保 (しんりりゅうほ) 表意者が表示行為に対応する真意のないことを知りながら行った意思表示をいう(民法93条)。冗談で甲が自分の 家を乙に与えると約束するような場合がその例であるが、心裡留保であっても、その意思表示は原則として有効である。 ただし、相手方(乙)が表意者(甲)の真意(冗談) を知り、又はこれを知ることができるような事情にあるときは無効となる。そのような相手方を保護する必要はないからである。なお、判例は代理人(又は会社の代表 者)が自己の利益を図るため取引を行ったときにも、本条ただし書を類推適用し、相手方が代理人(又は会社の代表者)の真意を知っているような場合には、相手方と本人(又は会社) との間では効力がないとしている。
成年後見制度 (せいねんこうけんせいど) 成年ではあるが、契約といった法律上の行為を単独で行うことができる行為能力が制限された者に対して、法定 代理人等の保護者をつけて能力不足を補わさせ、保護者の権限を無視した被保護者の行為の取消しができることとした制度。 判断能力を欠く常況にある者に対する「後見」、判断能力が著しく不十分な者に対する「保佐」、判断能力が不十分な者に対する「補助」という3つの類型があり、それぞれに成年後見人、保佐人、補助人を付し、代理権や同意権のほか取消権を与えて本人を保護する。 平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で、従来の禁治産制度に代えて後見を、準禁治産制度に代えて保佐を導入するとともに、新たに補助という類型を新設した。本来これらの制度は、精神的能力の低下した成年者を想定したものであるため、成年後見制度と総称されている。
援用 (えんよう) 時効の利益を受ける者が時効の完成を主張する等、ある事実を自己の利益のために主張すること。抗弁の援用、 証拠の援用等として用いられる。 時効は、時効期間の経過により権利の取得(取得時効)やその消滅(消滅時効)が生ずるとしているが(民法162条、同法167条)、当事者による援用がなければ裁判所は取り上げることはできない(同法145条)。これをどう説明するかにつき学説が対立しているが、判例は、「時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずる」としている(最判昭61. 3 .17)。保証人に主たる債務の消滅時効の援用を認める等援用権者の範囲は広げられている。援用権者が数人いる場合、1人が援用しても、その援用の効果は他の者には及ばないとされる。
文化財保護法 (ぶんかざいほごほう) 文化財を保存し、且つ、その活用を図ることを目的に昭和25年に制定された法律。 文化財とは、建造物、絵画、彫刻等並びに考古資料等の「有形文化財」、古墳、城跡等の遺跡や庭園、海浜、山岳等の名勝地並びに動物、植物の群生地等の「記念物」、周辺の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建物群の「伝統的建造物群」といった、我が国にとって歴史・芸術上・学術・鑑賞の上で価値の高いものをいう(2条)。文部科学大臣は、有形文化財のうち重要なものを「重要文化財」に指定することができること(27条)、重要文化財の現状を変更等しようとする場合は、文化庁長官の許可を受けなければならないこと(43条1項)、文化庁長官は、重要文化財の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定行為の制限及び禁止等を命ずることができること(45条1項)、重要文化財を有償で譲り渡そうとする場合は、まず 国に対する売渡しの申し出をしなければならないこと(46条1項及び5項)等の定めがある。 また、文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを「史跡」、「名勝」又は「天然記念物」(総称して「史跡名勝天然記念物」)に指定することができること(69条)、史跡名勝天然記念物の現状を変更等しようとする場合は文化庁長官の許可を受けなければならないこと(80条1項)、文化庁長官は、史跡名勝天然記念物の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定行為の制限及び禁止等を命ずることができること(81条1項)の定めがある。また、市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域内で、伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している地区を、都市計画に「伝統的建造物群保存地区」として定めること(都市計画区域又は準都市計画区域以外の区域については条例により)、及び現状変更の規制と保存のための措置の条例を定めることができること(83条の3第1項及び2項)、地方公共団体は、条例によって重要文化財、史跡名勝天然記念物等以外の文化財で重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができること(98条2項)等を定めている。 重要文化財及び史跡名勝天然記念物が指定されると所有者に通知される。 また、保存のための地域の指定及び関連の条例等は都道府県又は市町村の教育委員会で確認することができる。なお、周知の埋蔵文化財包蔵地(57条の4)の確認も同様である。
最多価格帯 (さいたかかくたい) 最も販売区画(戸数)が多い価格帯のこと。 宅地、住宅、マンションを分譲しようとして価格を広告する場合、原則として、販売しようとするすべて の宅地、又は建物の1区画(戸)当たりの価格を表示しなければならないが、販売区画(戸)数が多くすべての 価格の表示が困難であるときは、最低価格及び最高価格のみを表示することができる。この場合に販売区画(戸数)が10以上であるときは、最多価格帯及びこれに属する物件数をその価格区分を明らかにして表示しなければならないとされている。
根抵当 (ねていとう) 一定の範囲に属する不特定(増減する)の債権を、極度額の限度で担保する抵当権をいう(民法398条の2以下)。 銀行やメーカー等が、取引先と継続的な取引をする場合に契約で設定される。 普通の抵当権では、債務が消滅すると抵当権も消滅するが、根抵当権にあっては、その場合でもなお効力を有するので、貸付け、手形割引、商品売買等の取引で、その金額が増減する場合に便利である。 根抵当権の元本は、担保すべき債権の範囲の変更、取引の終了等、競売手続の開始、破産等によって確定する(同法398条の20)が、それまでは、被担保債権の範囲や債務者の変更(同法398条の4)、根抵当権だけの譲渡(同法398条の12) もできる。
森林法 (しんりんほう) 森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定め、森林の保存培養と森林生産力の増進を図ることを目 的として昭和26年に制定された法律。 農林水産大臣が定めた「森林計画区」別に、都道府県知事は地域森林計画をたてること(5条)、地域森林計画の対象の民有林で、土地の形質の変更等の開発行為を行う場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならないこと(10条の2第1項)、市町村の区域内に存する一団の民有林の所有者等は、一体として整備することが相当な森林について、市町村長の認可を受けて、森林施業の共同化のために必要な施設の整備に関する「施業実施協定」を締結することができること(10条の1lの8)、施業実施協定の公告の後に森林の所有者等になった者にも効力があること(10条の11の13)、農林水産大臣は、水源のかん養・土砂の流失の防止等のために森林を「保安林」、森林又は原野等を「保安施設地区」として指定することができること(25条、41条)、都道府県知事は、保安林の指定があった予定保安林及び保安施設地区について、90日を超えない期間内において立木竹の伐採等及び土地の形質の変更等を禁止することができること(31条)、保安林及び保安施設地区で、立木の伐採及び土地の形質の変更等を行う場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならないこと(34条)等を定めている。 地域森林計画、保安林及び保安施設地区に関する事項は都道府県又は市町村で、施業実施協定に関する事項は市町村で確認することができる。
業務停止 (ぎょうむていし) 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が、宅建業法65条2項の規定に該当する場合に は、その宅建業者に対し、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。 また、都道府県知事は、国土交通大臣又は他の都道府県知事の免許を受けた業者であっても、その都道府県の区域内で行う業務に関し、同法65条4項の規定に該当するときは、その宅建業者に対し、1年以内の期間を定め、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。なお、宅建業者が業務の停止の処分に違反したときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者の免許を取り消さねばならない(宅建業法66条9号)。
業務処理の原則 (ぎょうむしょりのげんそく) 宅建業者がいかなる心構えで業務を行わなければならないかという準則で、宅建業法では、宅建業者は、取引 の関係者に対し信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないこと、取引一任代理等を行うに当たって は、投機的取引の抑制が図られるように配慮しなければならないことと定めている(宅建業法31条)。ここでいう信義誠実の原則とは、宅地建物取引の専門家としての高度の注意義務を前提とし、宅建業者としてその取引の相手方や依頼者の信頼を裏切らないよう誠意をもって行動することをいう。
権利の濫用 (けんりのらよう) 外形上は権利の行使と認められる場合でも、そのときの諸般の事情から、法律上権利行使の効果が与えられない 場合をいう(民法1条3項)。 どのような場合に権利濫用となるかは個別的具体的に検討を要する問題であるが、権利行使が社会生活上とうてい認容し得ないような不当な結果を惹起する場合とか、あるいは他人に損害を加える目的でのみなされる等、道義上許すことのできない場合がこれに当たる。権利濫用となる場合は、その権利行使が認められないから、例えば、建物賃貸借契約について解除権を行使しても建物の明渡請求が許されないとされたり、高層建物建築が隣地所有者の日照・通風を阻害する場合、不法行為として損害賠償責任を負わされることもある。
権利能力 (けんりのうりょく) 私法上権利の主体となり得る一般的抽象的資格ないし地位をいう。自然人と法人とでは異なる点がある。 自然人は出生によって権利能力を有することになる(民法1条の3)が、胎児は相続(同法886条) と不法行為の損害賠償(同法721条)については、生まれたものとみなして権利能力を与えられる。権利能力の終期は死亡である。法人の権利能力はその設立によって取得し、その定款、又は寄附行為で定められた目的の範囲に限定される(同法43条)。終期は、法人の解散後の清算結了である。権利能力は権利を享有し得る資格であるから、権利を取得するための行為ができる能力とは異なる。権利能力のある者でも、行為能力を有しない者もある。
権利証 (けんりしょう) 権利に関する登記済証のことを略して権利証という。現在はコンピュータ化に伴って登記識別情報になった。 広義には登記所から登記済みの証明として交付を受けたすべての書面を登記済証というが、権利に関する登記済証とは、登記名義人がその権利を保存、設定、移転等により取得した登記の際登記所から登記済みの証明として交付を受けた書面をいう(不動産登記法60条)。当該権利の登記名義人たることを表象する書面であり、その人が将来登記義務者として登記申請する場合には、その申請意思の担保として添付を要求される(同法35条1項3号)。もし登記済証が滅失又は紛失したときは保証書によることになる(同法44条)。なお、所有権の登記ある不動産についての合筆、合併登記の登記済証は、その権利に関する登記済証として扱われる
権利金 (けんりきん) 借地権、借家権の設定又は移転に伴い、その対価として賃料以外に授受される金銭をいう。借地借家法の適用を 受ける借地権、借家権、とりわけ旧借地法の適用を受ける堅固な建物所有を目的とする借地権は、法律上強い保護を受け、かつ、長期間存続するために土地所有権(底地権) とは別個の財産権のように取り扱われ、その設定(借地契約)に当たっては、更地価格に対して一定割合(地域によって異なるが、概ね70%程度)の金員(権利金)が授受される。 このような借地権は譲渡が行われても旧借地法が継続して適用されるので、譲渡に際してもその対価として権利金が授受される。借家の場合にも、礼金等同様のものがある。このほか権利金には、賃料の一括前払いの性格を持つもの、特に借家の場合に什器備品等を含めた営業権又はのれんの対価とされるものがある。
機関投資家 (きかんとうしか) 資産運用のプロで、個人投資家以外の投資家をいう。 証券投資による収益を重要な収益源とする生命保険会社、信託銀行、投資信託が代表的であるが、その他に企業年金基金、農林系金融機関、損害保険会社等がある。また、簡易保険、公的年金基金(年金資金運用基金)等の民営でないものも含まれる。証券取引法2条3項1号では有価証券投資の専門知識・経験を有する者を「適格機関投資家」と定め、適格機関投資家に対して投資を募る場合は(それ以外の者に譲渡されるおそれが少なければ)有価証券届出書等による情報開示を不要としている。
正常価格 (せいじょうかかく) 市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成される であろう市場価値を表示する適正な価格のこと。 不動産鑑定評価基準(平成15年改正施行)において、旧基準における正常価格の定義の明確化を図り新たに定義づけられた。不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的にはこの正常価格となる。正常価格に対する価格としては限定価格・特定価格・特殊価格がある。 「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場」とは、①市場参加者が自由意志に基づいて市場に参加、参入、退出が自由である、②取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではない、③対象不動産が相当の期間市場に公開されていること、の3点を満たすものである。
残債 (ざんさい) 不動産取引においては、ローン又は割賦販売により住宅を購入した者が、これを転売する際に一括して返還すべ き借入金の残額(残存債務)のこと。
民事調停 (みんじちょうてい) 民事の紛争一般について(家事事件を除く)、裁判所が民事調停法に基づいて行う調停をいう。 調停とは原則として、裁判官1名、民事調停委員2名で構成する調停委員会(民事調停法6条)が、紛争解決のための合意を行うよう当事者に媒介ないし斡旋することである。 当事者の合意が成立し、これを調書に記載したときは、その記載は裁判上の和解(確定判決) と同一の効力を有する(同法16条)。主として、借地、借家や相隣関係のような継続的生活関係に基づく紛争や、親族間の貸借等の解決に利用されているが、最近ではいわゆるサラ金の問題解決のための調停申立てが急増している。なお、家事事件については家庭裁判所において家事 調停が行われている。
法定代理人 (ほうていだいりにん) 法律の規定により代理人となった者をいう。 未成年者の親権者(民法818条以下)、成年被後見人に対する成年後見人(同法843条)のように、本人に対して一定の地位にある者が当然代理人になる場合のほか、父母が協議離婚の際に定める親権者のように、本人以外の者の協議により定まる場合(同法819条1項)等がある。法定代理人は、任意代理人と同様、本人に対して善良なる管理者の注意義務及び誠実義務を負うが、その権限(代理権の範囲)が法律又は裁判所の命令によって決められること、復代理人を自己の責任で選任しうること等で任意代理人と異なる。
法定相続分 (ほうていそうぞくぶん) 被相続人による相続分の指定がない場合について、民法で定めた共同相続人の相続割合のこと(民法900条)。 配偶者と子が相続人であるときは各1/2、配偶者と直系尊属が相続人であるときは配偶者2/3直系尊属1/3、配偶者と兄弟姉妹が相続人であるときは配偶者3/4兄弟姉妹1/4とされている。 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは等分する。 ただし、嫡出でない子の相続分は嫡出である子の相続分の1/2で、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分のl/2である。代襲相続人の相続分は被代襲者の相続分と同じであり、数人の代雲相続人があるときはその各自の被代襄者の相続分を等分する(同法901条)。
消費者契約法 (しょうひしゃけいやくほう) 消費者と事業者との間の情報の質・量・交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認・困 惑した場合の契約の申込み等の取消し等を定め、消費者の利益の擁護を図ることを目的として平成13年4月1日よ り施行された法律。 消費者と事業者との間で締結される契約について適用され、当事者双方が事業者である契約と当事者双方が消費 者である契約は対象とならない。 本法では、事業者が契約の締結の勧誘に際して、重要事項について事実と異なることを告げ又は将来における変 動が不確実な事項の断定的判断を提供し、消費者がその内容が事実であると誤認した場合は申込みや承諾の取消しを可能とし(4条)、事業者が損害賠償の責任を全く負わないとする等、消費者の利益を不当に害する契約条項の無効(8条)、等を定めている。消費者契約法と民法・商法が競合する場合は消費者契約法が優先し適用される。 また、消費者契約法と宅建業法が競合する場合は、宅建業法が優先される(11条2項)。例えば、暇疵担保責任の免責特約は、消費者契約法では免責特約が有効な場合を限定し、全部免責条項を無効としているが、宅建業法 では、売主が業者の場合は、目的物の引渡し後2年以上となる特約を除き、買主の不利となる一切の特約を無効(宅建業法40条2項) としており、宅建業法が優先して適用される。
港湾法 (こうわんほう) 港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し保全することを目的として昭和25年に制定された法律。 港湾の施設を管理する地方公共団体が設立する港務局が、国土交通大臣又は都道府県知事の認可を受けて「港湾区域」を指定すること(4条4項)、港湾区域内又は港湾区域に隣接する地域で港務局(港務局を設立しない港湾の場合は地方公共団体)等の港湾管理者が指定する区域内で、港湾管理者が指定する護岸・堤防・さん橋等の水際線から20メートル以内の地域で構築物の建設等を行う場合は原則として港湾管理者の許可を受けなければならないこと(37条1項4号)、港湾管理者は、都市計画区域外の地域について「臨港地区」を定め、臨港地区に「商港区」「特殊物資港区」「工業港区」等の分区を定めることができること(38条、39条)、分区の区域内で、各分区の目的を著しく阻害する建築物等で地方公共団体が条例で定めるものの建築等をしてはならないこと(40条1項)等が定められている。 港湾区域は港務局又は地方公共団体、臨港地区は地方公共団体で確認することができる。
準禁治産者 (じゅんきんじさんしゃ) 成年後見制度に関する規定を設けた平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)前の規定において、心神耗弱 者(しんしんこうじやくしや)又は浪費者で、家庭裁判所によって準禁治産の宣告を受けた者をいう(民法・旧11条以下)。旧制度の準禁治産の宣告を受けた者は、改正後の民法では被保佐人とみなされる。 戸籍に準禁治産者についての記載がある者について、保佐の登記がされると、登記官から本人の本籍地の市区町村へ通知され、準禁治産のない新戸籍が作られ、戸籍から登記への移行がなされる。
滌除 (てきじょ) 抵当権の付いた不動産の買主等(第三取得者)が、被担保債権を弁済し抵当権を消滅させることをいう(民法378条以下)。 抵当権を実行しようとする債権者は、このことを買主等に通知しなければならないが、買主等はその通知 があるまではいつでも、また通知があったときは1カ月内に法定の手続をした上、湛除をすることができる(同法382条、同法383条)。 これに対して、抵当権者が縢除申し出の金額を承諾しないときには、抵当権者は1カ月以内に増価競売の請求をすることができる。増価競売とは、もし競売において源除申出金額より1割以上高価に抵当不動産が売却できないときは、この第三取得者の申出金額より1割の増価で抵当権者が自ら買い受ける旨を付言して行う競売の請求のことである(同法384条)。
無効 (むこう) 意思表示ないしは法律行為が最初から当然に効力を有しないことをいう。 民法が定める無効原因には、公序良俗違反(民法90条)、虚偽表示(同法94条)、錯誤(同法95条)等がある。無効な行為に基づいて給付がなされた場合、受領者は不当利得の規定に従い受領物を返還する義務を負う。甲乙が通謀して虚偽表示により土地の売買を仮装し、乙に所有権移転登記を経由したとき、乙がその登記を抹消する義務を負うような場合である。無効はすべての人に 対して主張しうるが、上記の土地を、事情を知らない(善意の)丙が買い受けたようなときには、甲乙は虚偽表示を丙に主張できない(同法94条2項)。法律行為の取消しの場合は、原則として最初に遡って無効となるが、取り消されるまでは有効である。
無権代理 (むけんだいり) 代理権のない者によってなされた代理行為をいう。 甲から何も頼まれていない乙が、甲の代理人と称して甲の土地を丙に売却するのがその例である。売買の効果は甲に帰属せず、乙が丙に対し履行又は損害賠償の責任を負う(民法117条)。 ただし、甲が売買を追認したとき(同法113条)、又は表見代理が成立するときは甲に売買の効果が帰属する。表見代理は、甲が乙に代理権授与の表示をしたとき(同法109条)、代理権を有していた乙がその代理権を越えた行為をしたとき(同法110条)、乙が代理権消滅後にその行為をしたとき(同法112条)の態様がある。そして、表見代理が成立するには、丙が乙を真実の代理人と信じ、かつ、そう信ずることがもっともであると認められるような事情がある場合に限られる。
物上代位 (ぶつじょうだいい) 先取特権、質権又は抵当権が、その目的物の売却、賃貸、滅失、穀損、又は土地収用等によって債務者(設定者)が受け取ることになる金銭等に及ぶことをいう(民法304条、同法350条、同法372条。土地収用法104条)。これら担保権者は、債務者の受け取る代金、損害保険金、損害賠償金、補償金等から優先弁済を受けることになるが、このためには、その払渡し前にこれらの請 求権を差し押さえておかなければならず(民法304条、民事執行法193条)、もしそれまでに差し押さえた債権者があると、これに劣後することになる。 このため、建物に抵当権を設定する場合には、物件提供者に火災保険に加入させ、債権者のために、あらかじめ保険金請求権に質権を設定しておく方法がとられている。
物上保証人 (ぶつじょうほしょうにん) 他人の債務のために自己の財産のうえに質権、抵当権等の担保物権を設定する者をいう。 保証人が自ら債務を負うのに対し、物上保証人はこれを負わず担保のための財産を提供するにとどまる。 法人の債務につき、その代表者個人の財産に抵当権を設定するのが典型例である。物上保証人が債務を弁済したり、債権者による抵当権の実行等により、自己の財産の権利を失ったときは、債務者に対し求償権を有するとともに(民法351条、同法372条)、法律上当然債権者に代位し、その求償権の範囲で債権の効力、及び担保として債権者の有していた一切の権利を行使することができる(同法500条、同法501条)。
物権 (ぶっけん) 物を直接支配し、一定の利益を享受しうる権利をいう。 物権は、契約によって設定する場合も法定のもの以外創設できない(物権法定主義、民法175条)。 物権で代表的なものは所有権である。 それ以外の物権は、他人の所有物の上に成立し(他物権)、制限された権利(制限物権)であり、利用を目的(用益物権) として、地上権、永小作権、地役権、入会権(同法263条、同法294条)、担保を目的(担保物権) として、留置権、先取特権、質権、抵当権がある。 民法上、このほか占有権があり、また、特別法による仮登記担保等、慣習法による譲渡担保等がある。対抗要件を具備した物権は、他の物権や債権に優先し、すべての侵害者に対して排除を求めうる。
物納 (ぶつのう) 相続税を納付する場合に、期限内に金銭納付が困難であるときに、延納(納税を延期する)によっても納付できない事由があると認められる場合に、相続財産そのものをもって納めるという制度。 相続税物納申請言を提出することにより、納付困難な税額を限度として許可される。なお、物納できる財産は、棚卸資産である不動産も含まれており、①国債、地方債、②不動産、船舶、③社債、株式、受益証券、④動産等の順序になっている。なお、管理又は処分をするのに、不適当な財産は物納が認められない。物納の収納価額は、相続税の財産を評価した額である。なお、相続税を物納した場合は、譲渡がなかったものとみなされる。
特別縁故者 (とくべつえんこしゃ) 相続人不存在が確定した場合に、清算後の相続財産の全部又は一部を与えられる者で、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者がこれに当たる。 特別縁故者への相続財産の分与は、特別縁故者の請求により家庭裁判所が審判する(民法958条の3)。 特別縁故者による相続財産分与の申立てがなされなかった場合、あるいは分与がなされてもなお残余財産がある場合には相続財産は国庫に帰属する。
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法 (とくていくうこうしゅうへんくうこうきそうおんたいさくとくべつそちほう) 特定空港の周辺について、航空機騒音対策基本方針の策定、土地利用に関する規制等の措置等を定め、航空機の騒音により生ずる障害を防止することを目的として昭和53年に制定された法律。 都市計画に、航空機の著しい騒音が及ぶ地域を「航空機騒音障害防止地区」及び「航空機騒音障害防止特別地区」に定めることができること(4条)、航空機騒音障害防止地区内で住宅等の建築(建築物の用途の変更をして住宅等にする場合も含む)等を行う場合は、防音上有効な構造にしなければならないこと(5条1項、5条5項)、航空機騒音障害防止特別地区内では、原則として住宅等の建築(建築物の用途の変更をして住宅等にする場合も含む)が禁止されること(5条2項、5条5項)等を定めている。 航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画は、都道府県又は市町村で確認することができる。平成15年3月現在、特定空港として指定されているのは新東京国際空港のl空港である。
特定行政庁 (とくていぎょうせいちょう) 建基法において、独立の行政機関の性格を有する建築主事を置く地方公共団体の長をいう。人口25万以上の政令で指定する市(義務設置、建基法4条1項)及び建築主事を置くその他の市町村(任意設置、同法4条2項)の区域については当該市区町村の長、建築主事を置かない市町村の区域については都道府県知事である。 ただし、限定的な権限のみを有する建築主事を置く市町村(同法97条の2)及び特別区(同法97条の3)の区域については、その限定的な権限に関しては当該市区町村の長、その他の権限に関しては都道府県知事である。 特定行政庁は建築物の違反是正、同法48条各項ただし書の許可等の権限を有する。
特定遺贈 (とくていいぞう) 遺贈(遺言による遺産の処分)のうち、特定の不動産や債権、一定の金銭、債務免除等の具体的な財産的利益の遺贈のこと。 特定遺贈の効力は遺贈者死亡の時から生じ、受遺者はいつでも遺贈の放棄ができるが、遺贈義務者その他の利害関係人は受遺者に対し、相当の期間内に遺贈の承認又は放棄する旨の意思表示をするよう催告することができる。
留置権 (りゅうちけん) 他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有するとき、その債務の弁済を受けるまで目的物を留置できる権利(民法295条以下)をいう。 留置権は、当事者間の公平を図るため、一定の要件が存在すれば、当事者の意思に基づかずに、法律の規定によって当然に発生する。 物の修理、加工をした者がその代金の支払を受けるまでその物を留置したり、借家について費用償還請求権を有する借家人が、契約終了後もその償還を受けるまで借家の明渡しを拒むのがその例。 留置権は、優先弁済権はないが、目的物の留置により弁済を間接的に強制する留置的効力を有する。また、占有するものが不動産であるときにも、登記を対抗要件とすることはないから、留置権者は、登記がなくても占有を伴うことにより第三者に対抗することができる。商人問で発生する商事留置権においては、債権がその物に関し生じたことを必要としない(商法521条)。
相殺 (そうさい) 2人の者が、互いに相手に対して同種の債権を持っている場合に、一方から相手方に対する意思表示によってそ の債務を対当額で消滅させること(民法505条)。 「そうさい」と読み「そうさつ」は誤読。簡易な弁済になり、公平のために認められることのほか、債権担保の役割を担う。 相殺は、相殺適状(2人の者が互いに対立した同種の金銭等の債権を持ち、かつ、双方とも弁済期にある又は相殺しようとする者の債権が弁済期にある状態)にあるときにできる。相殺の意思表示は単独行為であり、意思表 示があれば、双方の債権は相殺適状のときにさかのぼって対当額で消滅する(同法506条)。相殺禁止特約がある場合、現実に支払を確保する必要がある場合、自働債権(相殺をしようとする者の債権)が差押えを受ける等処分が禁止されている場合等は相殺はできない。
禁治産者 (きんじさんしゃ) 成年後見制度に関する規定を設けた平成l1年の民法改正(平成12年4月1日施行)前の規定において、心神喪失 の常況にあり、家庭裁判所で禁治産の宣告を受けた者をいう(民法・旧7条)。旧制度の禁治産の宣告を受けた者は、改正後の民法では成年被後見人とみなされる。戸籍に禁治産者についての記載がある者について、後見の登記がされると、登記官から本人の本籍地の市区町村へ通知され、禁治産のない新戸籍が作られ、戸籍から登記への移行がなされる。
競売手続きの円滑化 (けいばいてつづきおえんかつか) 不良債権の早期処理を推進し、金融システムの危機等に対処するため、平成10年10月に公布されたいわゆる金融再生関連法のうち、「競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により民事執行法、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律及び不動産登記法のそれぞれ一部が改正され、競売手続が円滑化されることとなった。 具体的には、①いわゆる占有屋等による執行抗告を簡易却下する制度の新設、②執行官、評価人の調査権限の強化、③買受人の銀行ローン活用のための移転登記の嘱託方法の改善などである。また、「特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法」においては、預金保険機構等の特定債権者の競売手続について、現況調査書、評価書の手続を省略できるとされた。
自力救済 (じりききゅうさい) 司法手続によらず、自力でその権利を実現することをいう。自力による権利の行使を広く認めると、社会秩序が 混乱するおそれがあるので、国家の権力が確立された今日では、私権の実現は司法手続によって行うのが原則であり、自力救済は場合により不法行為となる。 例えば、甲の所有地に乙が無断で家を建てた場合、甲は司法手続により土地所有権に基づく建物収去・土地 明渡し請求を行うべきであり、自力でその家を収去すると、損害の賠償をさせられる。ただし、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能、又は著しく困難であり、緊急やむを得ない特別の事情のあるときは、例外的に許されることがある。
行政不服法 (ぎょうせいふふくほう) 国民が、行政庁の違法又は不当な処分や不作為、そのほか公権力の行使に関して不服を申し立てることができる ことを定めた法律。 不服申立てには、処分庁又は不作為庁に対して行う「異議申立て」と、処分庁の上級行政庁等に対して行う「審査請求」とがある。なお、不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に行わなければならない。
行為能力 (こういのうりょく) 単独で契約などの法律行為をすることができる法律上の資格をいう。民法は、「私権の享有は出生に始まる」(民法1条の3)として、すべての人間(自然人) は出生によって、当然に権利能力を取得するが、不動産の取引のような契約が効力を生ずるには、行為の結果によって自分の権利義務が変動することを弁識する意思能力(物事の筋道をわきまえ識る能力) を有することが前提として必要となる。行為能力の制度については、民法は 従来、未成年者・禁治産者・準禁治産者の3つの類型を設け、行為無能力者又は無能力者と呼んでいたが、平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で、未成年者に対する制度は残し、新たに「成年後見制度」を設け、禁治産・準禁治産の制度を廃止し、後見・保佐・補助の3類型が導入された。その際、従来の「無能力者」という表現は「制限能力者」と改められた。
補助 (ほじょ) 軽度の痴ほう・知的障害の状態にあるような事理を弁識する能力(物事の筋道をわきまえ識る能力)が不十分な者について、本人・配偶者・4親等内の親族等の請求により、家庭裁判所の審判で開始される制度。 ただし、本人以外の者の請求により審判を行う場合には本人の同意が必要となる(民法14条)。平成11年の民法改正(平成12年4月1日施行)で導入された。家庭裁判所は「補助人」を付し、また、本人・配偶者・4親等内の親族等の請求により、補助人に対して特定の法律行為(同法12条1項で定めた行為の一部)に対して同意する権限を与える。 ただし、本人以外の者の請求により審判を行う場合には本人の同意が必要となる(同法16条)。補助人の同意を得ることを要する行為を、同意を得ないで行ったときは取り消すことができる(同法16条4項)。 また、家庭裁判所は、本人・配偶者.4親等内の親族等の請求により、被補助人のために、補助人に不動産の売却等特定な法律行為について代理権を与えることができる(同法876条の9第1項)。 補助が開始されると、法務大臣が指定する法務局が、後見登記等ファイルに被補助人の氏名・補助人の氏名等を記録する(後見登記等に関する法律4条)。
譲渡担保 (じょうとたんぽ) 債権保全のため、ある財産権を債権者に讓渡する形式の物的担保をいう。 民法に規定はないが、取引の慣行から生まれ、判例学説によって認められた担保である。 債務者乙は、債権者甲に讓渡担保に供した目的物をそのまま使用収益できるので、生産財等について多く設定されるが、不動産についても用いられ、登記原因を「譲渡担保」とすることも認められている。 債務が完済されると目的物の所有権は乙に復帰するが、弁済されないと甲はこれを第三者丙に売却し、または自己の所有とすることによって、優先弁済を受けることになる。ただし、甲は債権額を超える部分の清算をしなければならない。乙の他の債権者丁が目的物を差し押えたとき、甲は第三者異議の訴(民事執行法38条)ができる。
質権 (しつけん) 債権の担保として受け取った物を占有し、その物について優先弁済を受ける権利(民法342条以下)。契約によって設定される。 優先弁済は、民事執行法に従い、質権の存在を立証して目的物を差し押さえ、換価する方法により実現される(民事執行法181条以下)。質権にはその目的となりうる物の種類により、動産質、不動産質、権利質の3つがある。動産質はいわゆる庶民金融の媒介として古くから用いられてきたが、生産財等については設定者が目的物の使用収益ができないことから、譲渡担保にその地位を譲っている。同様の理由で、不動産質も利用されていない。 権利質は、預金、保険金を中心に金融取引において重要な機能を営んでいる。住宅ローンにおいては、担保物件 が火災等で滅失した場合に債権を担保できなくなるため、火災保険金請求権に質権設定を行うのが一般的である。
農業委員会 (のうぎょういいんかい) 農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与する目的として、地方自治法により市町村に設置されている行政委員会の一種で(地方自治法180条の5第3項)、その組織及び運営は「農業委員会等に関する法律」に規定されている。 農業委員会は、区域内に耕作の目的に供される土地のある市町村に設置され、選挙等で選出された委員をもって組織されている。 農業委員会の所掌事務は、農地法その他の法令により、その権限とされている農地等の利用関係の調整、及び自作農の創設維持に関する事項並びに農業経営基簿強化促進法により、その権限とされている事項を処理すること等である。
追認 (ついにん) 本来ならば効果の生じない法律行為に、効果を生じさせる意思表示をいう。 追認には次のような規定が設けられている。 (1)無権代理人の行為は本人に効果を及ぼさないが、本人が追認すれば行為のときに遡って効果を生ずる(民 法113条、同法116条)。 (2)無効な法律行為は当事者がこれを知った上で追認すると、そのとき新たな法律行為をしたのと同様に扱われる(同法119条)。 (3)取り消し得る法律行為を追認すると、確定的な(もはや取消しできない) ものとなる(同法122条)。(4)民事訴訟において、訴訟能力、法定代理権又は訴訟代理権の欠けた者がした訴訟行為は無効であるが、後に、能力を取得した者、訴訟代理権を与えられた者が追認すれば、行為のときに遡って有効となる(民訴法34条2項、同法59条、同法312条2項)。
造作買取請求権 (ぞうさかいとりせいきゅうけん) 借家人が、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作を、賃貸借終了の際、賃貸人に買い取るように請求できる権 利をいう(借地借家法33条、旧借家法5条)。 「造作」とは、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用に客観的に便益を与えるものをいう。 大型の埋込み式空調設備や雨戸のように、いったん取り付けると、取り外す際に相当価値が下がるものがその例である。旧借家法では、賃貸人が取付けに同意した造作については、借家契約終了時に賃貸人が買い取らなければならない(強行規定) とされていたが、現行の借地借家法(新法)では、特約により賃貸人は取付けに同意しても買い取らなくてよいとすること(任意規定)に改正された。 この改正については、新法の施行前に成立した借家関係にも適用され、新法施行後において賃貸人が買取りをしない旨の特約をすることができる。借家人は、この権利行使により時価相当額を請求できるが、判例では、その支払がなくとも建物明渡しを拒めないとされている。なお、賃借人の債務不履行による契約解除のときには、造作黄取請求権は行使できないとされている。
遺産分割 (いさんぶんかつ) 相続財産が共有となっている場合に、各共同相続人の相続分に応じて配分し、各相続人の単独財産とすること をいう(民法906条以下)。相続分は、遺言又は法律の規定(同法900条)で決まるが、具体的には、遺産の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状況その他一切の事情を考慮して(同法906条)、相続人間の協議によって決められる(同法907条)。もし分割の協議が調わないとき又は協議することができないときは、家庭裁判所で決めてもらうことになる。
遺留分 (いりゅうぶん) 兄弟姉妹以外の相続人に与えられる相続財産確保の権限をいい、その遺留分は、直系尊属のみが相続人のときは 被相続人の財産の3分の1、「その他の場合」は被相続人の財産の2分の1である(民法1028条以下)。例えば、父が 亡くなり母と子2人が4,000万円の遺産を相続する場合の遺留分は、前記のうち「その他の場合」に当たり被相続人の財産の2分の1の2,000万円(母がその2分の1の1,000万円、子がその2分の1の500万円ずつ) となる(同法 1028条、同法900条)。 遺留分は相続人を保護するためのものであり、被相続人の意思(遺言)によっても侵害することはできないの で、上記4,000万円のうち3,000万円を父がAに遺贈したとすると、母は遺留分の侵害を受けた500万円を、子は同様にしてそれぞれ250万円ずつを、Aに対して減殺請求することができる(同法1031条)。相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を必要とする(同法1043条)。
遺言 (ゆいごん) 遺言者の死亡によって一定の効力を発生させることを目的とする相手方のない単独行為をいう。 遺言は、法律の定める方式に従わなければ、これをすることができない(民法960条)。遺言事項は、相続分の指定(同法902条)、遺贈(同法964条)、認知(同法781条2項)等法律で定められたものに限る。方式は普通方式(同法967条以下) (自筆証書、公正証書、秘密証書) と臨終遺言等の特別方式(同法976条以下)とがある。 自筆証書は遺言者がその全文、日付及び氏名を自害、押印する方式であるが、簡略な半面、内容が不明確であったり遺言書の紛失等の危険があるので、正確を期するときは公正証書によることが望ましい。遺言は遺言者の 死亡によって効力を発生するが、遺贈、認知等についてはその執行を行うため遺言でその執行者が定められる。公正証書以外の方法による遺言書については、家庭裁判所の検認を要する。
遺贈 (いぞう) 遺言者が遺言によって、その財産の全部又は一部を処分することを遺贈という(民法964条)。遺贈によって利益を受ける者を受遺者といい、遺贈を実行すべき義務を負う者を遺贈義務者という。 遺贈は遺言の効力発生のとき、すなわち遺言者の死亡のときにその効力を生ずるが、そのとき以前に受遺者が死亡した場合は、効力を生じない。 遺贈義務者は、原則として相続人である。遺贈は無制限に認められるものではなく、相続人の遺留分を害することができない。遺贈は相手方のない単独行為である点において贈与と異なるが、贈与者の死亡によって効力が生ずる死因贈与については遺贈の規定が準用される。
配達証明 (はいたつしょうめい) 郵便物が宛先に配達又は交付されたことを、郵政公社(平成15年3月末までは郵政事業庁)が証明する制度のこと。 配達証明郵便が宛先に配達されると、差出人に「郵便物配達証明書」が送付され、相手方にいつ到達したか証明される。 意思表示が相手方に到達した証拠としての有効性を持ち、内容証明郵便と併せて利用されることが多い。 宛先が留守で留置(とめおき)期間が過ぎた場合は「不在で配達できないため還付する」旨の付茎がついて差出人に戻され、行方不明の場合は「転居先不明」の印が押されて差出人に戻される。また、相手方が受取りを拒絶した場合は「受取拒絶」の付簔がついて差出人に戻されるが、受取拒絶の場合にも意思表示到達の効果が発生するとする判例がある。
金種 (きんしゅ) 一般には、授受される通貨の種類。 不動産取引では、現金か小切手等かとの区別に使われることが多い。売買契約に基づく代金の支払方法について、売主・買主双方とよく打ち合わせをし、その代金の支払をする金員を現金でいくら、小切手類でいくらと振り分けておくことをいう。
錯誤 (さくご) 意思表示をした者の内心の真意と表示されたことが、重要な点(要素)で食い違いがあることをいう(民法95 条)。真意と表示とにくい違いがあると、真の意思表示ではないと解され無効とされるが、表意者に重大な過失がある場合には、その者を保護する必要がないから、この者が自ら無効を主張することは許されない(同法95条)。 錯誤は、法律行為の性質、契約の対象物件の違い、契約の相手の人違いなどの場合に錯誤ありとされるが、売買の動機となった事実に食い違いがあるような場合(動機の錯誤)には、契約の際その動機が表示されていなければ、無効を来すことにはならない。
限定承認 (げんていしょうにん) 相続によって得る財産の限度においてのみ、被相続人の債務及び遺贈についての責任を負うことを留保して、相 続の承認をすることをいう(民法922条)。単純承認(同法920条、同法921条)だと、相続人は自己の固有の財産を出してでも被相続人の債務全部を弁済しなければならない(無限責任)。限定承認は、もし数人の相続人のあるときは全員で(同法923条)、相続を知ったときから3カ月以内に、財産目録を調製して家庭裁判所に申述しなければならない(同法924条、家事審判規則114条以下)。限定承認をしたときは相続財産について清算が行われ、相続債権者、及び受遺者に2カ月以上の一定期間内に請求し得べきことを公告し(民法927条)、この期間経過後債権者に配当弁済し、残余財産で受遣者に弁済する(同法931条)。
非嫡出子 (ひちゃくしゅつし) 法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子のこと。 嫡出でない子は、父又は母が認知することができ、認知されると出生の時に遡ってその効力を生ずる(民法779条、同法784条)。判例では非嫡出子と母の関係は分娩によって当然に発生し、母の認知は要しないとする。嫡出でない子は母が親権者になるが、父が認知したときは協議又は審判により父を親権者とすることもできる(同法819条)。父の認知後に父母が婚姻した場合又は父母の婚姻後に認知された場合、嫡出でない子は嫡出子たる身分を取得する(同法789条)。
非訟事件 (ひしょううじけん) 私人間の生活関係について、裁判所が通常の訴訟手続によらないで後見的に介入し、紛争の予防や除去を行う事件をいう。 その処理は、非訟事件手続法により行われる。 裁判所は、法律に基づき権利義務の存否を判断するのではなく、裁量的にその具体的内容等を定める点に特徴がある。非訟事件は、申立て又は職権による探知により開始され(非訟事件手続法11条)、非公開で審判される(同法13条)。申立てにより提起される非訟事件としては、借地借家法による借地権の譲渡転貸の許可(借地借家法19条)等がある。
高齢者の居住の安定確保に関する法律 (こうれいしゃのきょじゅうのあんていかくほにかんするほうりつ) 優良な高齢者向け住宅の効率的な供給を促進し、高齢者が安心して生活できる住環境を実現することを目的とし て平成13年10月1日に施行された法律。略して高齢者居住法ということも多い。 バリアフリー化された賃貸住宅への国及び地方公共団体等による補助制度、終身建物賃貸借制度、高齢者の入居を拒まない住宅の情報を広く提供するための制度及び高齢者の既存持家をバリアフリー化するための支援制度等 の整備・導入が図られた。